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​Original Corset Story

『​オリジナルコルセットの誕生秘話』

・骨折と奇病

2000年当時の私は、個人の趣味とBaby Doll Tokyoのプロモーションのため、普段からほぼ毎日、コルセットを着用して生活していました。私が着用していたコルセットはLos Angelsやヨーロッパから輸入したものや、オーダーメイドで自分のサイズを測り別注した商品でした。

私がBaby Doll Tokyoを始めた動機の一つに、Los Angelsで見たコルセットショップやそのオーナーに影響を受けたことがありました。日本ではほとんど見ることのなかった本物のコルセットの魅力に、私はどっぷりはまり込んでいました。これを日本でも着たい、販売したいとの強い思いが当時の私からは溢れ出していました。

オープンしたばかりのBaby Doll Tokyoのお店を軌道に乗せるため、ほぼ休みなくお店に立ち続けていました。それと同時に他店舗のプロデュース、イベントの企画など複数の仕事に追い回されていたのです。

私はBaby Doll Tokyoの顔として、まだまだアンダーグラウンドだったゴシックファッションやコルセットを毎日着用しハードな生活をこなしていたのでした。

そんなある日(2005年頃)、最初の骨折を経験したのです。

普段とは違う痛みに病院に行きました。そこでは「肋骨の剥離骨折」と診断され治療しました。それから一年も経たない頃、重い荷物を上げ下げしている最中に2度目の骨折を経験しました。私が経験した骨折、そのどちらの時にもコルセットを着用していました。

その後、大人喘息にもなりました。

太ったり、痩せたりを繰り返しするようになり、普段から疲れやすく、サウナやマッサージなどに頻繁に通うようになったのです。

リンパの流れが悪くなり、お尻よりも太ももの方が太くなってしまったこともありました。当時の私は、ショップなどでの立ち仕事が原因のムクミだと勝手に思っておりましたが、あるマッサージの先生から衝撃的なことを言われるのです。

「ミラノさんの身体が正常な呼吸の運動をしていない。」

私はその言葉とそれにまつわる説明を聞いて、その原因がコルセットを締め続けていることにあることを理解しました。そして、それからしばらくコルセットの着用を控えました。すると症状は回復していったのです。

​そもそもコルセット文化は一度は無くなった文化でした。その原因の一つは身体に対する負担が大きいことでした。タイトレーシングが主流だったヴィクトリア朝時代にはコルセットによる病気や、死亡事故も起きていたほどでした。

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A woman wearing a tight-laced corset(1980年頃)

これはタイトレーシングした女性の写真です。タイトレーシング(tight-laceing)とは、写真のようにコルセットをきつく締めるスタイルのことを言います。

Victoria and Albert Museum]より転載

コルセットによる身体への影響を解説した医学書の挿絵
Distortions of the female rib-cage caused by corset.

 Wellcome CollectionCC BYより転載

Distortions_of_the_female_rib-cage_cause

・研究と開発

私は自分の身に起きてしまった変化、病気に対して前向きに向き合うことにしました。大好きなコルセットを長く身に付けることができるように、そして徐々に増え始めた、Baby Doll Tokyoのコルセットファンの皆様に対して、安全で良質なコルセットを提供したいという思いから、世界初の「アジア人を美しく見せるコルセット」を作り出そうと決意したのです。

そもそも私は凝り性な人間で、どうでもいい事でも気になると調べずにはいられません。それをあれやこれやと妄想したり実験するのが大好きです。今回はその性格が幸いし、オリジナルのコルセット制作の切っ掛けと原動力になったのです。

まず最初に私が着目したのが「正常な呼吸」です。コルセットのデザインが「肺」の動作と「肩甲骨」の可動を妨げないことを重要視しました。

そこで着目したのが「アンダーバスト・コルセット」や「ショート・コルセット」です。当時、一般にコルセットといえば、胸までカバーされた「オーバーバスト・コルセット」という認識でした。海外の市場でも主に流通していたのは「オーバーバスト・コルセット」でした。私はコルセットの歴史や、そもそものコルセットの使用目的を紐解き、ショート丈の「アンダーバスト・コルセット」〜「ショート・コルセット」の構造にたどり着きました。

 

ショート丈のコルセットは、呼吸や身体に対する負担の少ない構造です。コルセットの上部の面積を減らすことで、「肺」と「肩甲骨」に対する負担を軽減させることができます。私はショート丈のコルセットの研究を始め、ショート丈のコルセットはデザイン的にも、西欧人に対して身長が低めで、プロポーションが異なる日本人にはマッチしていることに気づきました。

 

実は当時、オーバーバストコルセットを身長の低い方が着用すると、「寸胴」で「胴長」に見えていしまうことが多かったのです。そもそも日本人と西欧人とではプロポーションのバランスに違いがあります。典型的な日本人体型の方が、オーバーバストコルセットを着用すると、そのプロポーションのバランスの違いが極端になり、結果としてプロポーションが悪く見えてしまっていたのです。しかし、ショート丈のコルセットの場合には、身長が低めな方が着用してもプロポーションのバランスは悪くならずむしろ、効果的にくびれが作れる上に、腰の位置が上がり足が長くスタイリッシュに見えることが多かったのです。

私はオリジナルシェープのショートコルセットの開発とデザインをはじめました。

日本人をベースに、より多くのアジア人を美しく見せるためのメソッドを研修しはじめました。

 

日本人と西欧人との印象やプロポーションの違い、人間の骨格構造に着眼。それぞれの専門家のお知恵を借りながらの試行錯誤を繰り返し、現在の「HONEY LINE CORSET」の原型となるコルセットを完成させたのです。私はコルセットのパーツもオリジナルで制作しました。例えば、コルセットの構造に含まれる「ボーン」(骨組み)の素材をソフトで軽量な物に変え、その数や組みつけにも独自の工夫をしました。これによりコルセット自体の重さを随分軽量化することができ、コルセットの着用を長時間、楽しめるようになりました。

私がデザインしたコルセットは健康面に配慮した結果、現代人のファッションや生活スタイルにマッチした新しい切り口のコルセットとなりました。従来のボディファンデーションとして服の下に着用してきたコルセットを、単にクラッシックやフェティッシュなファッションアイテムとしてだけではなく、現代的な洋服などと組み合わせ、時代にマッチしたファッションアイテムとして提案したのです。

そして私のショートコルセットは、アジア女性のウエストに美しいくびれを生み出し、腰の位置を高くし、足を長くみせるプロポーション補正効果を新しく生み出しました。

2012年に最初の「HONEY LINE CORSET」を発売し、以来、「DESIRE」「CHANTAL」などオリジナルコルセットのバリエーションを増やしてきました。

現在、日本のアニメ、ゲームキャラクターのコルセットにショート丈のデザインが多いのは、もしかしたら、私の隠れた功績なのかもしれませんね。

Baby Doll Tokyoのオリジナルコルセット・クオリティーとして素材やデザイン性はもちろんのこと、コルセットの構造に関してもこだわりを持っています。コルセットの前中心の合わせ部分(トップトリムとボトムトリム)に隙間がなく、スッキリ美しく見えること。コルセットのスタイリングをサイドから見た時に、バスクが変形し、反り返ってしまわないこと。

​私がデザインしたコルセットへのこだわりと使用感に関して、直接、貴女自身の身体で是非、体感してみてください。

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HONEY LINE CORSETの原型(2007)

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Good

Baby Doll Tokyoのこだわり-1
コルセットの前中心、トップトリムとボトムトリムに隙間ができないこと。

「​神は細部に宿る」と言います。細かいことですが、一見してその商品のクオリティーの良し悪しを感じてしまう部分です。

フロント部分の曲がり+.png

Good

Baby Doll Tokyoのこだわり-2
コルセットのスタイリングを横から見たとき、胃の部分でバスクが変形せず、フロントが美しく、姿勢も良く見えること。

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バスクやボーンが胃の部分で「く」の字に変形した状態は、胃や内蔵が圧迫され具合が悪くなりやすくなります。シルエットの面でも下腹が出て見えてしまう原因になります。

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